星野道夫さんの旅をする木
40歳も近くなってくると、人生について色々考えたりするわけで。
今まで心に響かなかった言葉や文章が、心にぐっとくることがある。
アラスカの自然を写真に収めたことで有名な、星野さんの本を今読んでる。
それこそ心にぐっと来る言葉がちりばめられている。
10代?20代で読んだときは、何も思わなかったのに。
旅をする木抜粋
「人々は、どうしようもなく、時代と共に生きている」
「そして気の遠くなるような戦死者の数も、決して戦争の悲惨さを伝えてはこない。それを知るためには、死んでいった無名の人々のかけがえのない生涯と、残された者たちのそれからの一生を、ひとつひとつたどる途上でしかわかり得ないのだろう」
東日本大震災では、怒りをどこにも持って行き様がない悲しみに、打ちひしがれる人たちをたくさん目にした。でも、東京のニュースでたとえば「東日本大震災の死者が1万人を超えました」と聞いても、1万人の人々の人生と、周囲の人々の悲しみは届かない。それを受け入れるには、巨大な想像力が必要。
なんでアメリカとアフガニスタンで同じ数の人がテロで殺されても、日本メディアの扱い方が違うのだろう、とずっと腑に落ちない。同じ人間が、同じように殺されても、国が違えば、それはどこかで正当化されるのかな。
星野さんはすべての人の人生を同じように、丁寧に、様々に捉えている。その優しいまなざしが文章から伝わってくる。